誇るべき日本映画はいっぱいあると思うけど、「後妻業の女」は、世界中の人に見て欲しいとつくづく思う。
いやあ、笑いました。

深刻なテーマを深刻に扱うと、けっこう、どうしようもなくなる。
作り手のモラルとかデフォルトのマインドセットがみじみ出てうんざりさせられたり、当たり障りなさ過ぎて味わいも蒸発してしまったり。
その辺のバランスは表現系ものづくり全般に共通すると思うが。
深刻な話題をエンタテインメントに徹して提示して、ハラハラドキドキの2時間をお約束しながら、見終わった後に思いのほか、劇中の出来事や背景にとらわれてしまう自分に気づく。
そんな作品は海外の名作に多いが、本編もそのカテゴリーに含まれるというのが、わたしの感想だ。






多くの点で原作から歩き出すのが映画だが、確かな視点とプロットは原作という強固な基礎があってこそ。
原作はハードボイルド、映画はピカレスク物語だが、家族という普遍的なテーマは世界中で共感を得るだろう。
見終わった後もしばらく映画の話に夢中になる、そんな作品だった。

観客の多くが、性別を問わず、身に覚えのありそうなアッパー熟年層であったことを報告しておきます。



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足湯でほっこり


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